「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」無効確認訴訟を提起しました。

大阪ヘイト受理

訴 状

平成29325

大阪地方裁判所 御中

原告 西村斉  

615-0091京都市右京区山ノ内御堂殿町7-1 WEST.VILLA.OIKE-110(送達場所)

原告 西村斉 電話090-3270-4447

530-8201 大阪市北区中之島1丁目320号(送達場所)

被告 吉村洋文大阪市長 電話06-6208-8181

「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」無効確認訴訟事件

貼用印紙の額 13000

請求の趣旨

被告が施行した、「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」は無効である。

訴訟費用は被告の負担とする。

との判決を求める。

請求の原因

1 被告は、平成2871日、「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」を施行した。

2 ところが、ヘイトスピーチといふ趣旨を同じくする平成28年6月3日に施行した「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」には、罰則が無いが、この「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」には罰則(氏名公表という行政処分)があることから、日本国憲法第94条「法律の範囲内において条例を制定できる」との点から、この条例は無効である。

又、地方自治法第一四条第一項も、「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにをいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。」と定めてゐる。

3 上記2の根拠から「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」は、

・日本国憲法第31条の「何人も、法律の定める手続によらなければ、自由を奪はれない。」

といふ、憲法に違反し、又、日本国憲法第21条第1項の「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」といふ条文と照らし合はせても、ヘイトスピーチの定義も曖昧で言論、表現の自由を侵害してゐる「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」は無効である。

4 最高裁昭和50年9月10日;徳島市公安条例事件の判例によると、条例が無効かどうかの基準は、趣旨・目的・内容・効果を比較し、法律・条例間で『矛盾抵触』があるかどうかによって判断するとしてゐる。

(一)これを、本件に当て嵌めると、「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」の、第一条(目的)を要約すると、『この条例は、ヘイトスピーチが個人の尊厳を害し差別の意識を生じさせるおそれがあることに鑑み、市民等の人権を擁護するとともにヘイトスピーチの抑止を図ることを目的とする。』と記されてゐる。これに対して、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」の同じく第一条の(目的)には、『この法律は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消が喫緊の課題であることに鑑み、その解消に向けた取組について、基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、基本的施策を定め、これを推進することを目的とする。』としてゐる。

要は、「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」の目的は、【ヘイトスピーチの抑止を図ることを目的】としてゐるに対し、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」では【ヘイトスピーチの解消に向けた取組について、「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」のやうに罰則を付けて、言論、表現の自由を侵害しかねない危険を冒す事ではなく、単に、啓発、推進することを目的】として自制してゐるものであるので、最高裁昭和50年9月10日;徳島市公安条例事件の判例の、条例が無効かどうかの基準項目の【目的】に『矛盾抵触』が存在するのは明白であるので、「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」は無効である。

(二) 又、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」第七条の条文の文言も要約すると、『ヘイトスピーチを解消するため国民に周知し、その理解を深めることを目的とする広報、その他の啓発活動を実施する』としてゐることからも、「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」の、【罰則まで付けて、言論、表現の自由を侵害しかねない危険を冒してまで、定義も曖昧な、ヘイトスピーチの抑止を図ることを目的とする】といふ「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」は、ここでも、『矛盾抵触』を起してゐる。

よって、上記の(一)、(二)の申立人の主張は、最高裁昭和50年9月10日;徳島市公安条例事件の判例に照らし合はせて「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」は無効としてゐるのですが、同時に、上記(一)、(二)の主張は、最高裁昭和50年9月10日;徳島市公安条例事件の判例以外でも、「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」は【ヘイトスピーチの定義も曖昧で言論、表現の自由を侵害してゐるので無効】であるといふことも併せて主張する。

5 よって、原告は被告に対し、上記「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」の無効を求めるため本訴に及んだ次第である。

証拠方法

1 甲第1号証 

(「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」が無効である事を証明する証拠書類)

 添付書類

1 甲号証1号写し1通 

2 訴状副本 各1通 

「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」が無効である事を証明する証拠

(甲第1号証) 

    行政主体(市町村)は、法律に基づいてしか行政行為をできないといふ制限がある。

② 国の、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」は、理念法で罰則が無いが、「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」には、行政罰則(氏名公表という行政処分)があることから、法律の範囲内の条例とは云へないので、日本国憲法第94条の「法律の範囲内で条例を制定することができる。」といふ条文に違反してをり、この条例は無効である。

    行政が行政行為(法律の範囲内という侵害留保の原則)として行政罰(氏名公表)を課す内容を含む条例は「法律の範囲内」と言へないので無効である。

    日本国憲法第94条に関する最高裁判所判決例

事件番号

昭和53(行ツ)35

事件名

工作物除却命令無効確認

裁判年月日

昭和531221

法廷名

最高裁判所第一小法廷

裁判種別

判決

主文

理由

上告代理人横田總の上告理由について、日本国憲法第九四条は、「地方公共団体は、……法律の範囲内で条例を制定することができる。」と定め、また、地方自治法第一四条第一項も、「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。」と定めている。これは、条例制定権の根拠であるとともに、その範囲と限界を定めたものである。したがつて、普通地方公共団体は、法令の明文の規定又はその趣旨に反する条例を制定することは許されず、そのような法令の明文の現定又はその趣旨に反する条例は、たとえ制定されても、条例としての効力を有しないものといわなければならない。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 藤崎萬里

    平成2933日に、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」の成立に主として関はった参議院議員西田昌司氏と在特会会長八木会長(西田昌司事務所で)との対談で西田氏は、「私達が何故ヘイト法をさういふふう(罰則規定有り)にしなかったといふと、憲法違反になってしまふ。当然の事ながら条例なんかで出来るはずがない。大阪でやってる条例も、私は憲法違反の疑ひがあるのではと言ってきた。そんなに簡単に言論を条例で統制・規制出来るはずがない、絶対に出来ない」と述べてゐる。

(https://www.yamatopress.com/the-diet/26895/)

 以上